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近年における建築費の上昇について

2022年1月10日

1.建築費の推移

建築費の上昇・下落傾向を指数化し、国土交通省が発表する「建設工事費デフレーター(建築費総合)」によると、東京オリンピック開催が決定した2013年以降、建築費は右肩上がりで推移しており(但し、コロナの影響が直撃した2020年は若干の下落)、その間における全国の建築費は約17%アップしています。特に2021年に入ってからの上昇が大きく、9か月間で約4%上昇(木造住宅は約8%の上昇)となっています。

2.建築費の上昇原因について

上記建築費の上昇原因は、「2019年以前」と「2021年以降」は明らかに異なります。すなわち、2019年までは、東日本大震災の復興事業が続く中、オリンピック関連の競技施設建設や不動産市況の回復が重なり職人不足が発生し、需要に供給が追い付けないという国内事情が主な原因でした。一方、2021年に入ってからは、アメリカ発のウッドショックや世界的なサプライチェーンの麻痺に代表されるコロナ禍における国際的な事情が主な原因となっています。特にウッドショックによる木材価格の上昇は著しく、一般財団法人経済調査会の調査によると、2021年に入り木材価格は実に約2倍となっています(大分県もほぼ同じ)。

3.今後の建築費の動向について

この状況は、コロナ禍が落ち着けばある程度改善することが期待できますが、建設業の有効求人倍率が4倍を下回ることがない我が国では、高齢化による更なる職人不足が予測されるため、今後も建築費の上昇は続くものと思われます。

(こちらとほぼ同様の内容はOITA CITY PRESS 2022年1月号に掲載されています)

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