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駅ビル開業は、既存商店街にどのような影響を与えたか

2019年10月8日

2015年4月、店舗・ホテル・シネコン等からなるJR大分駅ビルが開業し、当初予測を大きく上回る業績をあげています。

それでは、駅ビルの開業により、大分市中心部の既存商店街はどのような影響を受けたのでしょうか。

1.通行量にについて

大分市が行った通行量調査によると、最も通行量が増えたのは、大分駅北側の府内中央口付近で、駅ビル開業前に比べ50%以上増加しています。しかしながら、駅ビル周辺以外は、ほとんどの地点で通行量が減少しているのが実情です。

2.店舗構成について

物販店の減少と飲食店の増加傾向が鮮明となっています。メインな既存商店街である「セントポルタ中央町」「ガレリア竹町」「府内5番街」「サンサン通り」「ポルトソール通り」という5つの商店街についてみると、駅ビル開業後、物販店が13%減り、飲食店が8%増加しています。特に「セントポルタ中央町」ではその傾向が顕著で、飲食店が23%増加したのに対し、物販店が27%も減少しています。

3.空き店舗の状況

上記5つの商店街全体の空き店舗率は11%から12%程度で推移し、駅ビル開業後も大きな変動はみられませんが、ばらつきが認められます。最も改善したのは比較的駅ビルに近い「ポルトソール通り」で、空き店舗率は15%から8%に減少しました。一方、駅ビルからやや離れる「府内5番街」は、8%から13%に悪化しています。

4.まとめ

以上より、①駅ビル開業の恩恵を受けているのは、今のところ、駅ビル周辺に限られること、②駅ビルへの顧客流出により物販店は苦戦を強いられ、飲食店への業態変更が進んでいることがうかがえます。

(こちらの内容はOITA CITY PRESS 2019年10月号に掲載されています)

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