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住宅にも残価設定型ローン

2026年3月12日

残価設定型ローン(残価設定型クレジット)とは、車の購入で広く使われているローンの形で、略して「残クレ」とも呼ばれています。将来の売却を前提に売却想定額である「残価」を決め、毎月返済する元本には残価は含まれないため、月々の負担が抑えられる仕組みです。この形のローンは、住宅分野でも過去複数の企業が開発しましたが、数十年先となる住宅の将来売却価格の予測が難しく、使われることはほとんどありませんでした。今回、国が発表した「残価設定型住宅ローン」はこれまでの「残クレ」と異なり、将来の売却価格が残価を下回った場合、住宅金融支援機構が金融機関の損失をカバーする保険を提供して利用を促すのが特徴です。また、残価以外の元本と利息支払う期間を終えると、それ以降は残価分の利息のみを支払い、残価の元本は死亡時に住宅の売却などで返済するリバースモーゲージに移行することも特徴です。近年の土地価格や住宅建築費の高騰により、住宅を購入しようと思えば、20年前に比べ、倍近くのお金を借りなくてはならなくなっています。銀行は40年ローンや50年ローンを認め借入可能期間を長くすることで、月々の返済額を圧縮している状況ですが、それも限界に近づいていることがこのような制度が生まれる要因となっています。

このローンの問題点として、①ローンが借りられる住宅は「認定長期優良住宅」等に限定され、多くの人が利用できない可能性があること、②金融機関が払う保険料が利用者の金利上乗せとなり利息負担が増大する可能性があること、③金融機関が損をした場合、その損失が最終的に国の税金で支払われるとしたら、公平性の観点から問題があること等があげられています。

(こちらとほぼ同様の内容はOITA CITY PRESS 2026年3月号に掲載されています)

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