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家族信託という選択(3)

2020年7月6日

【家族信託を利用した認知症対策の例】

1.相談内容

自宅とアパート並びに現金を所有する相談者A(母・85才)がいます。Aの夫は既に他界し、一人息子のB(55才)がいます。Aは自分でアパートの管理を行っていますが、最近物忘れが出始めており、今後認知症を発症することも考えられます。今後のことを考えると、アパートの管理等をBに任せたいと思っている。

2.何もしなかった場合

Aが認知症になり判断能力を喪失した場合、アパートの管理、大規模修繕、建替、売却等ができなくなります。また、本人の財産を守るためAの銀行口座は凍結され、必要最小限の預金引き出しであっても成年後見人をたてる等の手立てが必要になります。

3.後見制度を使った場合

Aに資産があるため、通常、Bは成年後見人になれず、弁護士、司法書士等の専門家が成年後見人になります。この場合、不動産の現状維持ための支出しか認められなくなる可能性が高く、柔軟な財産管理ができなくなります。例えば、アバー卜の建替え、大規模修繕、売却等をすることができなくなる可能性が極めて高くなります。また、成年後見人に支払う費用(少なくとも月2万円以上)も必要となります。任意後見制度を利用し、Bが任意後見人になったとしても任意後見の発効後、任意後見監督人が選任されるので結果はほぼ同じです。

4.家族信託を使った場合

自宅・アパート・現金を信託財産、Aを委託者、Bを受託者、そして利益(家賃)を受け取る権利をAに残すため、受益者をAとする信託契約を締結します。これにより、Aが認知症になったとしても、受託者が財産の管理・運用・処分等を継続して行えるため、柔軟かつ積極的な財産管理が可能となります。

(こちらとほぼ同様の内容はOITA CITY PRESS 2020年7月号に掲載されています)

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