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関係者間の不動産売買は要注意!!

2019年12月3日

親子や夫婦等の親族間、また、同族会社とその役員間等、特別な関係を持つ者との間で不動産の売買が行われることがあります。このような関係者間の取引は、税務当局により厳しく審査されるため、細心の注意が必要です。なぜなら、第三者間の取引と異なり、互いに都合のよい価格で取引を行い、買主または売主のいずれかが不当な利益を受ける可能性があるためです。今回は、時価3,000万円の土地を1,000万円(取得時の価額も同額とします)で関係者に低額譲渡した場合に、どのようなペナルティが課せられるかを例にして説明します。

1.親子等の個人間

買主は売主から時価と売却額の差額2,000万円相当の贈与を受けたものとみなされ、その分に対し、贈与税が課税されることになります。

2.個人(役員)から同族会社

売主の所得税を不当に減少させたとして、個人は時価の3,000万円で譲渡したものとみなされ、譲渡益2,000万円(この場合は時価と取得額との差額)に対して所得税が課税されます。また、法人側は、時価との差額2,000万円の利益を得たものとして、法人税が課税されます。

3.同族会社から個人(役員)

上記と同じく、法人は時価3,000万円で譲渡したものとみなされ、譲渡益2,000万円に対して法人税が課税されます。また、個人は時価との差額2,000万円について贈与があったものとみなされます(この場合、一時所得として所得税が課せられます)。

4.まとめ

上記のとおり、関係者間で不動産の低額譲渡を行うと、思いもよらない課税をされる場合があり、とても危険です(ここでは説明しませんでしたが、高額譲渡の場合も同じです)。したがって、このような不動産取引を行う場合には、不動産鑑定士等の専門家に相談することを強くおすすめします。

(こちらの内容はOITA CITY PRESS 2019年12月号に掲載されています)

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