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映画ブログ(1)「そこのみにて光輝く」

2015年1月27日

 

スタッフブログ、映画担当になりました。

好きな映画に関して好きなように感じたままを書いていきます。

よろしくお願いいたします。

 

第一回目は、41歳で自ら命を絶った不遇の作家、佐藤泰志の同名小説を原作とする2014年公開作品です。私の中で2014年一番の邦画でした。

 

「そこのみにて光輝く」

監督  呉美保

脚本  高田亮

 

仕事を辞め日々を無為に過ごす主人公・達夫(綾野剛)は、パチンコ屋で知り合った拓児(菅田将暉)を通じて、拓児の姉である千夏(池脇千鶴)と出逢います。

 

脳梗塞で倒れ寝たきりの父に、前科持ちの弟。

しがらみのために断ち切れない不倫相手との関係。

生活していくための売春。

 

閉塞感が浮き彫りになるような函館の小さな町を舞台に、千夏を取り巻く絶望的な境遇に触れながらも、達夫は千夏に惹かれていきます。

 

過去の深い傷から他人や社会との繋がりを断ち切ってしまった達夫にとって、千夏や拓児との関係性は、次第に守りたいものへと変わっていきます。

 

千夏にとっては、荒みきった生活の中で諦めざるを得なかったもの、その重みの分だけ達夫の存在を最初は素直に受け止められずにいるように見えました。

 

それでも、不器用ながらも少しずつ達夫の愛情を受け入れていく過程が丁寧に描かれています。

 

救いのない生活のなかでも、誰かを求め繋がりたいと願うのは人として自然なことで、見る人が変わればただの傷の舐め合いにしか映らないのかもしれませんが、それでも人対人のなかでしか生まれないものの美しさや尊さが確かに在るのだと思います。

 

「そこのみで」しか生きられない人たちは確実に存在していて、捨てざるを得なかったものがあると同時に どうしても捨てられないものがある事実を突きつけられます。

 

内容的には暗く重たい映画ですが、弟役の菅田将暉さんが底抜けな明るさを好演しておりだいぶ中和されています。

 

 

やりきれない哀しみを背負った人間の弱さと強さを、丸ごと全肯定するような慈しみを感じられる作品です。

 

 

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カテゴリースタッフ,映画

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